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ペニーオークションに関わった有名人について

入札ごとに手数料がかかるという仕組みのペニーオークション。
このオークションを、落札していないのに落札したかのようにブログに書いた有名人が多数いるようです。
すでに何人かはブログで謝罪していますね。

このペニーオークションを宣伝した有名人の法的責任について検討してみたいと思います。

まずは、刑事責任について。
正犯者らは詐欺罪で逮捕されていますから、
考えられるとすれば、詐欺罪(刑法第246条第1項)の幇助(同62条第1項)です。
幇助犯が成立するにも、故意(同38条1項)が必要です。
そうすると、ブログでの宣伝が詐欺の幇助となるには、
「宣伝をしているペニーオークションが、決して落札できない仕組みになっている詐欺」
であることを認識しつつ宣伝したことが必要となります。
この認識がないので、刑事的責任の追及は不可とするのが一般論で、
私も賛成ですが、もうちょっと踏み込んでみます。

疑わしい事情はいくつかあります。
1落札したとされる価格が安すぎること
2落札したという商品は新品の家電であり、一般に安く購入するのが難しい商品であること
3ブログにアップするだけで、何十万という高額の報酬に結びついていること

しかし、
1については、それを信じて詐欺の被害者になってしまった人が多数いる以上は、
信じることもやむを得ないといえます。
2についても、1と同様です。
3については、芸能人の仕事なんてそんなものかもしれません。
本当にもらってるのか知りませんが、簡単なクイズで何十万とかですからね…。
というわけで、疑わしい事情はあるものの、刑事的責任の追及はやはり難しいという結論に落ち着きます。

次に、民事上の損害賠償責任です。
刑事責任と違って、これは過失(=ミス)でも責任負担につながります。
そうすると、さきほど挙げた1~3の事情で、
「それを宣伝するなんて、怪しいと思ったでしょ?思ったけど、宣伝したんだよね?」
という過失があるといえれば、損害賠償責任を追及できるということになります。
これについては十分可能性があると思います。
しかし、認められる損害賠償額は最大でもペニーオークションに使ってしまった金額であり、
裁判をするには決心がつかない金額ということになるのでしょう。
被害者が多数おり、その中に芸能人のブログを見て信用しきってしまった人も多数いれば、
被害総額自体は大きなものになるのですが、個別の被害回復は難しいということになってしまいます。

確かに、最新家電を1000円ちょっとで落札できるなど信じられない話ですが、
詐欺は騙される方より、騙す方が悪い。
これは当たり前のことです。
巧みな騙し文句に気をつけてください。
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