「心神喪失」になると、なぜ無罪なの? - じょうばん法律事務所 弁護士のブログ インターネット詐欺・不当解雇 着手金0円
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「心神喪失」になると、なぜ無罪なの?

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特に法曹関係者向けに書いているつもりはないので、まずは犯罪がどういうときに成立するのか、というところから書いていこうと思います。

というわけで、結構長くなりました。


1 構成要件該当性

難しい言葉ですが、要するに
・行為
・結果
・故意
・因果関係
のことです。

例えばですが、
「あいつなんて死んでしまえ~」と祈り続けたところで、本当に死んでしまっても、
「行為」がないから犯罪は成立しません。
※ここでいう「行為」とは、それなりの危険性があることが必要です。

1はすべて満たす、という場合には次の2を検討します。


2 違法性

簡単に言えば「悪いこと」です。
野球のデッドボールがわかりやすいです。

デッドボールの結果、相手打者が骨折をしたとします。
でも、投げた方が逮捕されたなんて事例を聞いたことありませんよね。
また、格闘技なんか相手を怪我させるためにやっているような行為ですけど、逮捕はされません。
まれに相手が死んでしまうこともありますが、それでも逮捕はされません。

ただ、デッドボールも格闘技も1の構成要件該当性はあるわけです。
しかし、2の違法性がない、つまり「悪いこと」ではないから犯罪ではないのです。

ちなみに、医師がメスで患者の身体を切る行為も、
「違法性がない」から犯罪ではないと説明することができます。

1も2もあるときに、今回のテーマである3が問題となります。


3 責任能力


記事に詳しい内容が書かれているので、詳細はそちらを見ていただきたいのですが、
これも簡単に言うと「悪いことだとわかっていたのか」ということです。
悪いことだとわかっていないのにやってしまったときは犯罪ではないのです。
なんでそうかってところが難しいところなんですが、法律上決まっていることではあります。

ただ、これを普通に考えると納得いかないと思うんですよ。
普通の感覚では、1構成要件該当性と2違法性を満たしただけでいいんじゃないの?となる。
それをなんでわざわざ3責任能力なんて要求するの?という疑問はもっともなもので、
これに対しての回答は難しいです。

引用の記事では「刑罰を科しても理解できないから」といった内容で書かれていますが、
これも1つの説明にすぎません。
また「理解できるかどうかは別にして、刑罰を科せ。被害者はいるんだから。」という意見もあるでしょう。
さらに、死刑に限っていえば、刑罰の理解や更生も何もないわけで、
責任能力がなかろうと死刑だけは科すべきではないかとも考えられますよね。

なんか結局、結論らしい結論が出ていませんが、
責任能力が難しい問題であり、議論があり得るところだということをわかってもらえたらと思います。
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