東名高速道路の走行車線に止めさせる行為 殺人罪は成立しないのか - じょうばん法律事務所 弁護士のブログ<茨城県取手市>
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東名高速道路の走行車線に止めさせる行為 殺人罪は成立しないのか

世間を騒がせているあの事件ですが、現状だと

自動車運転処罰法違反(過失致死傷)

という罪名で捜査されているようです。


しかしながら、被疑者は故意に自動車を止めているでしょうし
「過失」
ってところには違和感があります。

危険運転致死傷罪の

人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で運転

というのに、あたらなくもなさそうです。

では、さらにいって殺人罪まで持って行けないのかという疑問も湧いてきます。

殺人罪が成立するといえるには、

①人が死ぬほど危険な行為であること

②殺意があること

③その結果、死んだこと

といったあたりを満たす必要があります。


①は、高速道路の追い越し車線に止めさせる行為がどこまで危険かという点に尽きるでしょう。

個人的には後ろから車が突っ込んでくるおそれがあって、めちゃくちゃ危ないと思います。

だって路側帯に止まっていても、突っ込んで来ちゃうらしいじゃないですか。
それが追い越し車線なら、なおさらでしょう。

さらに本件犯行は夜で、危険性はより高い。


②は、被疑者には想像力が全然備わってないし、確かな「死んでしまえ」という意図はなかったでしょう。

でも、車を運転すれば追い越し車線に止まることの危険性はわかっているはず。
そしてその危険性を理解すれば、無理矢理止めさせれば、
車が突っ込んできて死んでしまうかもということが予見できていても無理はないはずです。


①、②とは少しずれるんですが、

長時間の暴行を加えて、その被害者が高速道路に逃げ込んだという事例がありました。
この事例だと、長時間暴行の結果、高速道路に逃げ込むことは無理もないということで、
殺人罪を成立させた判例があります。

この観点からすると、東名高速道路の件も殺人罪の成立は、絶対に無理というわけではないように思います。

③は、止めさせる行為自体がかなり危険なので、因果関係は肯定されやすいでしょう。


細かい事情によりますが、論文試験に出たら殺人罪で書いちゃうだろうな。



とはいえ、検察庁は起訴した罪名による有罪判決をほしがりますから、
逃げ・無難すぎる罪名を選択する傾向にあります。
この辺は虐待事件なんかで、私もよく書いているところです。

大男が、小さい子どもを長時間暴行し続け、死なせたのに殺人罪じゃないとかね。

あんまり期待できないでしょうね。


続報によれば、普段から相当危ない運転をしていたとのこと。
妨害もかなりやっていたようだし、こうなる前に厳しい処分ができなかったのかという点が悔やまれます。
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