「50代は転勤願出せ」女性社員らへのパワハラ認定判決 - じょうばん法律事務所 弁護士のブログ インターネット詐欺・不当解雇 着手金0円
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「50代は転勤願出せ」女性社員らへのパワハラ認定判決

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医療機器販売会社「フクダ電子長野販売」(松本市)の代表取締役から2013年、パワーハラスメントを受けたなどとして、従業員だった50~60代の女性4人が、同社と代表取締役に計約1700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、長野地裁松本支部であった。松山昇平裁判長は「代表は年齢のみで原告らの能力を低くみる発言をした」などとして、4人へのパワハラを認め、会社と代表に計357万円余の支払いを命じた。

 判決によると、代表は2013年4月に着任。その後、「50代はもう性格も考え方も変わらないから」「4人の給料で、若い営業員を入れてこき使った方がいい」などと発言。

 特に、当時57歳で経理・総務係長だった女性に「社員の入れ替えは必要だ。新陳代謝が良くなり活性化する。50代は転勤願を出せ」「辞めてもいいぞ」などと侮辱する発言を繰り返した。当時50代後半で営業統括事務係長だった女性にも「おばさんたちの井戸端会議じゃないから、議事録を作れ」「倉庫に行ってもらう」などと発言。4人は同年9月までに退職した。

 松山裁判長は、会社側に4人への慰謝料の支払いを命じた。さらに経理・総務係長だった女性に対する賞与減額と懲戒処分は「退職させる目的」と認定。営業統括事務係長だった女性の賞与減額にも「理由はない」とし、会社側に退職金や賞与の減額分の支払いを命じた。

 判決後、原告の女性(61)は「立証が難しいとされるパワハラが認められてうれしい」と述べた。被告側弁護士は「親会社に報告し、判決内容を精査した上で判断する」と答えた。

 同社は医療用電子機器大手のフクダ電子(本社・東京都文京区)の完全子会社。(松本英仁、岡林佐和)




非常にいい、画期的判決だと思います。

原告の女性もコメントしているとおり、パワハラやセクハラは非常に立証が難しいです。
録音でもしていたのでしょうか。

しかも、民事裁判には立証責任という高く厚い壁があって、
裁判官は判断に迷ったら請求棄却にできます。
要するに負け。

この「判断に迷ったら」というのがクセモノで、
被告が否認さえすれば棄却しときゃいいってくらいに考えられてる節さえあります。

だから、この裁判でも否認されていたとしたら勝てない恐れがあったように思いますが、
この裁判官は判断から逃げなかった勇気がある。

賞与減額と懲戒処分を退職させる目的と認定した、ってところなんかすごいですよ。

遵法精神がない会社には相応のダメージがあるんですよ、というメッセージ性さえ感じます。

どう考えても被告がブラック企業なのに立証責任やら特定やらの概念で請求棄却してるのとか見ると、
何かちょっと違うよねぇって感じがします。
民事訴訟のルールからはしゃあないんですけど、なんかね・・・。

請求棄却が出まくることで、そういう企業を相手に戦おうとすることが少なくなるわけです。
結果、ブラックがはびこることにもなります。
裁判所には、こういうのを防ぐ役割もあると思うんだけどな。

残業の立証で、立証責任を緩くしたり転換してるような判決とかもすばらしいですよね。

退職後であるにもかかわらず訴訟に踏み切った原告の方々には敬意を表したいです。
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