訴訟は科学である。 - じょうばん法律事務所 弁護士のブログ<茨城県取手市> 詐欺サイトと日々戦っています。
FC2ブログ

訴訟は科学である。

訴訟というのは、法律学の到達点の1つだと思います。
つまり法律学という科学・学問の領域で戦うものなんです。

ところがやはり、この点もほとんど理解されておらず

・私はこんなにかわいそうなんです。゚(゚´Д`゚)゚。

・加害者は謝罪をしないとんでもないやつだヽ(`ω´*)ノ彡☆

といったように、感情面や道徳面ばかり問題にしてしまう方が多い。

全くの無関係とまでは言えませんが、重要度は低いと思った方がいい。

原告の請求が認められる条件は何か、それは満たされているのか、
満たされるとして被告はそれをつぶすことができるのかというように極めて形式的に考えられています。

ですから、どんなに原告がかわいそうでも、どんなに被告がひどいやつでも請求が認められる条件を満たさなければ、
訴訟には負けます。

また、勝つ場合であっても原告のかわいそう度合いというのは、条件の1つ(しかも程度問題として)でしかありません。
実のところ、原告がどれだけかわいそうかというのはほとんど関心事項にはなりません。


金を貸したけど、返してもらえないから返金を求めて訴えたという訴訟を想定してみます。
金を貸したのか、と返したのかが争点になります。

金が返ってこなかったせいで生活に困ったとか、
金を借りた(と思われる)人に前科がたくさんあるとかはほぼ関係しないのです。

ところが、当の本人は実はそこをわかってほしいので延々と話し続けてしまう。
調停委員や裁判官は、関係ない話をず~~っとされるもんだからあからさまに困った顔をします。

困り果てて「その話はわかりましたから、別のことを聞かせてください。」と言うと、
「あの人は冷たい!私の話を聞いてくれない!不公平だ。」となるんですね。

しかもその代償で肝心の主張が薄くなってしまう。
いいことが全くありません。


さらに訴訟は、科学的に原告の請求を分析してそれを数値化します。
つまり金額としていくらが妥当か、という観点で判断します。
金銭請求以外の訴訟もありますが、それは措いておきます。

これは前にも書きましたが


・お金目当てじゃないんです!

とか

・どうせ金目当てなんだろう!

といったことが聞かれます。

これは請求を科学的に分析して、数値化するという訴訟機能を真っ向から否定しています。

お金目当てじゃないなら訴訟提起する必要性は下がるし、
逆に訴訟提起するならお金が目当ての1つになっているのは当然です。

お金目当てということがマイナスイメージとしてとらえられることを危惧しての発言でしょうけど、
全く意味がないのでやめましょう。

「お金じゃないの?だったら取り下げてください。謝罪しますんで。それでいいんですよね?」
とか言われても文句言えません。

関連記事

コメント

非公開コメント